菱目打ちとは「ひしめうち」と読みます。レザークラフトでは通常の裁縫と違い、縫い合わせる前に縫い穴を開ける必要があります。縫い穴の出来不出来によって完成時のクオリティに差が出ます。本記事ではレザークラフトで穴を開ける工程に必要な菱目打ちに付いて紹介しています。また菱目打ちの研ぎ方やメンテナンスに必要な商品の紹介も合わせて行っております。
菱目打ちとは?選び方も紹介
レザークラフトにおける菱目打ちの役割
レザークラフトは一般的な手縫いの裁縫とは違い、革に先に穴を開けてそこに糸を通します。菱目打ちを使用する工程を飛ばしても縫う事は物理的可能かと思いますが、無理やり針を使うと糸を通すまでにかなりの力が必要になる為、綺麗に仕上げる事は難しいでしょう。菱目打ちの工程は完成時の美観性を保つために行います。
菱目打ちの選び方
菱目打ちにも種類があり、選び方にも基準があります。それが図にもあるように、「目数」と「ピッチサイズ」が重要になります。目数とは一度に何個の穴が開けられるのか、ピッチサイズとは穴の間隔が何ミリかという事です。
主に目数は直線用に4と曲線部用に2をもっておけば当面は大丈夫でしょう。ピッチサイズに関しては3㎜~5㎜が使われることがほとんどです。ピッチサイズに決まりごとはないですが、財布などの小物を中心に作るのであれば3㎜、バッグなど大きなものを作るなら5㎜を揃えておきましょう。
おすすめの菱目打ち
4本セット(4mm)
菱目打ちは直線用と曲線部に使用する為に2本の用意があればいいと前述致しましたが、購入を決めたのであればセットで買ってしまった方が手早いです。
始めた当初は最低限あれば良いかもしれません。ですが、経験を重ねてレザークラフト上達した時に新たに買い足す必要が出てきます。その度にわざわざ買いに行ったり、ネット注文を行う事は面倒になるので最初にセット買いをおすすめします。
音のないパンチ穴空け式
本来縫い穴を開ける作業は菱目打ちを革に当てた状態でトンカチで叩いて穴を開けるのが一般的です。ですが、マンションやアパートまたは深夜に作業すると作業音が響いてしまい周りに迷惑をかけてしまいます。
パンチ式の菱目打ちはそんな集合住宅で作業する方や昼夜問わず作業をする方におすすめになります。難点としては目数やピッチ別にアタッチメントを交換する方式を取っている為、厚めの革に穴を開ける時に刃を持っていかれる、受けに付いてるゴム板がすぐにダメになってしまうというものがあります。
きり式
パンチ式同様に上からのトンカチで叩かなくても使える仕様になっています。また目数が1の為、メンテナンスがしやすく切れ味が落ちた時に簡単に研磨する事が出来ます。
菱目打ちの研ぎかた
菱目打ちは使っていくうちに刃がなまくらになっていきます。なまくら状態で菱目打ちを使用した所で革に穴が開かずに菱目打ちの役割はたすことが出来ません。包丁などと同様に研ぐことが必要になります。
砥石で研ぐ
まさに包丁と砥石を使って研いでいく方法です。研ぎ始める前にしっかりと砥石を水に付けてから研磨を行いましょう。研ぐコツとしては左右のバランスに気を付けて、少し研いだら革の切れ端を使って途中経過を確認しましょう。
耐水ペーパーを使用する
砥石で研ぐ方法だと、目数が複数ある菱目打ちの場合研げる方向が限られてしまいますが、耐水ペーパーを使用する事で刃と刃同士の隙間も研磨する事が出来ます。
ピカールを利用する
ピカールを切れ端の革に付けて菱目打ちの先端を習字の墨を磨るように擦り付ける事で菱目打ちの先端に輝きが戻り、切れ味も戻ります。ピカールを利用すると綺麗に仕上がる為、他の方法で研磨した後に仕上げとして使用する方法もあります。
ピカールとは日本磨料工業株式会社から発売している家庭用の金属研磨剤になります。くすんでしまった金属製品に付けて研磨する事で商品名通りピカピカになります。
「菱目打ち」まとめ
- 仕上げを綺麗にするためには菱目打ちは必要
- 菱目打ちを購入するならセット購入がおすすめ
- 研磨材は用意しておきましょう
いかがだったでしょうか。菱目打ちは作品の完成度をより高くするためには必要な工程になります。使っていくうちに切れ味が落ちてきます。ですが、研磨する事で引き続き使用する事が出来ます。レザークラフトは作品の制作工程が一番楽しいポイントだと思いますが、道具のメンテナンスも負けず劣らず楽しい工程と言えます。作品の経年変化だけではなく道具の経年変化も楽しみましょう。